第8章 会いたくない
「?」
洗面所の鏡にぺたりと貼り付けられたメモ用紙。
高質な紙に書かれた文字は、薄い筆圧で丁寧に書き記されている。
「吉野さん?」
はじめに根津さんが上がり込んだ時、結城くんが吉野さんは洗面所付近へ隠れた、とか
言ってたような?
端正な字は男性が書いたようには思えず、さながら古き良き日本人女性
大和撫子のような煌びやかさ。
「これって…そういうことよね?」
自分に確かめるように、何度も何度も繰り返し読む。
「違ってたら申し訳ありません…!」
シャワーヘッドに伸ばしかけた手を、ソファに放置したスマホへと移す。
yoshi...