第6章 調教の成果(邪魔された)
「服、着ててください」
私は、待たせては悪いと思い、ロングコートだけを羽織って扉の前に立つ。
大丈夫、よね?
きっと乗務員さんか何かだ。
「はい?」
キーッと重厚な音が響き、背丈の高い男の人が現れた。
凛とした目は、こちらをまっすぐに捉えている。
サラサラとした艶のある黒髪と切れ長の目が、心に突き刺さるようだ。
綺麗な日本男児。
平成の時代には珍しいほどの硬派な身なりの男性。
その身なりからして、乗務員ではなさそうだ。
「失敬…近くに滞在する者ですが、」
「はぁ」
男性は深くお辞儀をした後、こう切り出した。