第1章 春
中学校に到着すると、早速五人でクラスを確認…
『何や、またマルちゃんと一緒かぁ…』
『たつぅ、俺と一緒なんがそんなに嫌?』
『…嫌やないねんけど…』
『だったら、なんで「マルちゃんと一緒かぁ」…とか言うん?寂しいやん?』
…始まった…マルちゃんとたつの口喧嘩…
いっつもこんな感じで言い争う癖に、なんとなくお似合いの二人。
マルちゃんとたつ以外は、みんなクラスがバラバラ。
『クラス、わかれちゃったねー』
なんて話してると…
近づいてくる、見慣れた三人の影…
『お前らも、とうとう中学生やなぁ…あれ?ヤス?男前やン?』
と、一番体がガッチリした影が、しょーちゃんの頭をグシャグシャにする。
わたしたちの友達だけど、今日からは先輩と呼ぶべき中2トリオ、信ちゃんとすばるくん、きみくんだ。
しょーちゃんの頭をグシャグシャにしてるのが、信ちゃん…村上信五くん。
サッカー部の次期キャプテン候補。
リーダーとして取りまとめるのが上手く、先生からも生徒からも信頼されている。
目が、とある女優さんにそっくり(そのせいで中学生になってから『ヒナ』ってゆう新しいあだ名がついたんだって)で、喜びを顔全体で表現するようなクッシャクシャの可愛い笑顔、笑うと見える八重歯…
結構かっこいい顔だし、身長も普通に高いし、部活を真面目にやってるだけあって、きたえられた美しい体♪とみんなから見とれられるし、モテそう…なんだけど…
とにかく、ガサツがだだもれてるような人。
『女心なんてもんは知らん!俺は俺のやり方で行く!』
なんて、普段から平気で言っちゃうから、女子が離れていっちゃって…なかなかモテない…
男子の人気は断トツなのに…何か残念。
そして、信ちゃんは…とんでもないところで天然。
(実は、信ちゃんのそういうところが大好きなんだけどね)
この間も、しょーちゃんの家でみんなで宿題をやろうとしたら、カバンの中から出てきたのは、ペンケースじゃなくて何故か「2kgのダンベル」。
他の中2コンビから
『ヒナ、そんなん、重さで違いがわかるやん、なんであえてのダンベル?(笑)』
と、いいタイミングで突っ込まれ…まわりにいたわたしたちは大爆笑!
たつなんて、ヒーヒー言いながら床をバンバン叩いて大笑いするから、その笑い方にまたみんなつられて大爆笑!
信ちゃん、最高すぎる(笑)
