第4章 明かす罠は甘くて苦い果実
紗織side
次の日。目が覚めると、まだ見慣れない天井。
さっそく用意された新しい家具たちに囲まれ、同じく建物内に人気声優さん達が数え切れないほどいるせいで、朝からテンションが普通じゃない。
朝起きる、それだけが幸せだ。
7時にセットした目覚ましより1時間も早く目覚めてしまったわけで、早朝から着替えて管理人室の方へ行く。
扉を開けて廊下を挟んだ扉を開けてすぐ。
ここ自体管理人室のガラス窓から死角というか、扉を開けた先にあるし入るのにも鍵が必要だから孤立している。
行き止まりになっている片方の廊下の端と、ロビーに繋がる鍵付きの扉があるもう片方。
誰かが鍵なしに入ってくることも出来ないし、プライバシーも管理人室の警備もバッチリ。
シャッターの扉みたいな鉄製の扉を開けて管理人室に入る。
薄暗い部屋の明かりを付けると、時間帯のせいで眩しい。感覚は夜に電気を付けるみたいな。
静かな辺りに近くを車が通る音が外から聞こえてくるだけ。
わたしは、チェアに座って書類の準備を始めた。
管理人なわけだし、声優さんたちを見て幸せなことだけが仕事じゃない。
まあ、朝早くから仕事を始めるのは誰か通らないかな…って期待があって、ってことなんだけどね。