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男性声優さんの裏生活【R18】

第4章 明かす罠は甘くて苦い果実


書類を捌いていると、サッと誰かが横目に視界を横切った。


もう早くに出るのかな……?


視線を移した先には、ちょうど扉を開けて出て行こうとするけんぬ。ことKENNさん。


外からは番号の入力が必要だけど、出るときはもう一つの出る人用の透明なドアから外に出る仕組み。


目が合って固まったわたしに、けんぬは笑顔で手を振る。


「仕事の都合でもう出るんだ。朝早いのにお疲れ様」


わざわざドアに掛けた手を離してこっちに歩いて来てくれる。


わわ……!朝から太陽より眩しいイケメン様の笑顔っ。


こっちに来ないでください!心臓が持ちません!!!


わたしの焦りなんて知られるわけもなく、けんぬは出ておいでよ。と声をかける。


そんな風斗君ボイスで言われたりしたら断れるはずもない。いえ、元より断る気なんてさらさらないですが。


気持ちとは裏腹に暴れて足を止めさせる心臓を押さえて、一歩一歩踏みしめるみたいに扉に向かう。


ガチャッ……。


鍵が開く音が重たい。駄目だ、けんぬみたいな王子様と窓ガラスを挟まずに接したらわたし…死ぬ。


もうわたしじゃなくなってしまう。


扉の前で立ち尽くしたわたしに扉の向こうでけんぬが言う。


『どうしたの?大丈夫?』


大丈夫なわけないでしょう。人気声優の中でも超イケメンを前にするんですよ?


心臓バクバクなんですから…!
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