第5章 思い出のショートケーキ
「……お前何してんの?」
『何って、ボタン掛け違ってたから直そうと思って』
「言えよ! いきなり脱がされっから何事かと思っただろぃ!?」
ブン太の大声にまたカーテンから保険の先生が般若みたいな顔を出す。
「あ、すんません……」
思わず謝ったブン太と、がっちりホールドされた私の腕を何回か見比べて、先生がカーテンの向こうに引っ込んだ。思わず二人で顔を見合わせて、どちらともなく吹き出した。
そそくさとボタンを留めて、待ってっからなと言い残し、ブン太は保健室を出ていった。桑原君を待たせていることを思い出し、制服に着替えて昇降口に急ぐ。保健室を出ていくとき、「もうちょっと静かにね」とやんわり先生に言われてしまった。