第6章 土翁と空夜のマリア
「イノセンスを使って造られたのならありえない話じゃない。」
ゾクッ
茂みが開け、目線よりも遥か下の方に街が見えてきた。
走っていた足をゆっくりと止めた瞬間に空気が変わったような感覚。冷たい風の中にピシピシと伝わる空気の波。
人を殺したAKUMAから伝わってくる殺気だ。
「チッ
トマの無線が通じなかったんで急いでみたが・・殺られたな。」
神田も気配を感じとったのだろう。静けさが漂うこの街の中には生きている人間なんていない事を物語っているようだ。
あたし達が立っている位置の前には崖がある。その下には問題の街が広がり静けさを漂わせている。
「おいお前、始まる前に言っとく。
お前が敵に殺されそうになっても任務遂行の邪魔だと判断したら、俺はお前を見殺しにするぜ。」
「・・・・」
そんな言い方せんでもええやん。って言ってやりたいが、ここで気分を害されるとこの後の戦闘で影響がでるかもしれない。
だからできるだけ、戦闘前は相手が気分を害しそうな発言は控えるように心掛けている。
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