第12章 元帥の元へ
「美しいエーゲ海の町だ。」
紙と鉛筆を取り出し、黙々と何かの絵を描き始める師匠。何を書いているのだろうか・・
「元帥、敵はあんたとあんたの所持してるイノセンスを狙ってるんです。」
「私が見た記憶の映像だから少し違うかもしれないが・・
デイシャ・・絵で申し訳ないがキミの故郷を送ってやろう。どうか心安らかに。」
本当に神田の声が聞こえていないのか?そんな事を思わせるぐらい2人の会話が噛み合っていない。
ボッ
師匠は書き終わった絵に火をつけ、灰になっていくその絵を手のひらに乗せる。風が吹きその灰はひらひらと舞っていく。
「あ・・っ」
まるでデイシャを空へと見送っているような感覚になった。ひらひらと飛んでいく灰は、デイシャとのお別れを物語っているようだ。
デイシャ・・・・今までありがとう。
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