第12章 元帥の元へ
「おっさん。離れろ。」
神田の声。目の前が涙で淀んでいてはっきりと目の前が見えないが、あたしを抱き締めてくれるのは師匠だ。
「ずび・・夢もよく耐えた。こんなボロボロになって・・。一緒に乗り越えよう。」
師匠・・
「・・はい。」
ぎゅうっと師匠の脇腹辺りまで手を伸ばし抱き締め返した。胴回りが大きい為か背中まで腕が伸ばせないけど力強く抱き締めた。
師匠も辛いんだ・・あたし1人じゃない。
「おい!いい加減にしろ。」
ぐいっと師匠から引き離されると神田は真剣な表情で元帥へと話しだす。
「ティエドール元帥。一度、我々と共にご帰還を。」
「デイシャの故郷は確か、ボドルムだったかな。」
「そうだったと思います。」
神田の言葉を聞いていないのか、涙がいっぱいの目をこすりながら涙声の師匠にマリが答える。
→