第2章 看病 【火神】
呼ばれたバスルームに向かい、ノックして
扉を開けると、そこにはバスタオルだけ
身体に巻いたゆりの姿があった。
「なっ…!お前っ…!」
慌てて扉を閉めようとすると、俺を呼び止める声。
直視をしないようにと、目線を落として
「なんだよ…」と聞き返せば、下着を洗濯したいとのことだった。
…そりゃ、泊る気なんてなかったんだし、
着替えなんて持って来ていないわけで。
「洗濯機回すか…」と呟いて見て、そこでハッと気付く。
(いや、それはマズくないか…それって、
一緒に寝る時は下着着けないってことだろ…)
服は俺のTシャツ貸すとして…
チラッとゆりを盗み見れば、当の本人も
どうしようかと、顎に指を当てて考えている。
洗濯は今から終わらせて干せば間に合う。
…どうせ明日は学校休みだしな。
すると、考え込んでいたゆりが顔を上げる。
「…?」
視線が合ったと思ったら、
「…着けなくてもいい?」
とかヘラリと笑って言うゆり。
「なっ…!はぁ…」
俺は顔を真っ赤にして、片手で顔を抑えた。
まぁ、本人が言うなら仕方ない…のか?
「…そのケースに俺のTシャツ入ってるから
適当なの着とけ。」
俺はそれだけ言い残して自室に戻る。
後ろから「ありがとー!」と声が響いた。
…もちろん、こいつと経験がないわけじゃない。
でも、やっぱり好きな女と一緒にいると、緊張してしまう。
しかも下着着てねぇとなると…
悶々とするうちに、部屋の扉がノックされる。
「ん。」と短く返事をすればすぐにゆりが入ってきた。
…その格好の威力は想像を超えていた。
よりにもよってゆりが選んだ俺のTシャツは白。
かなりの体格差があるからワンピースみたいに
なっているものの所謂彼シャツの破壊力を俺は舐めてた。
下はウエストが合わず着られなかったらしい。
ダボダボの服に、ほんのり赤く染まった頬、
濡れた髪からわずかに水気が滴っている。
その水気を拭う為に上げた半袖の隙間から見える
二の腕とか、脇とか...って!何考えてんだ俺...!!
「ドライヤー、借りてもいい…?」
そんな俺の気も知らずに首を傾げて尋ねてくるもんだから、
こっちは理性がぶっ飛ぶ寸前。
「…その棚の中あっから」