第2章 看病 【火神】
「…ったく。そう言われたら何も言えねぇだろ」
マイペースと思っていたら、時々こうやって
爆弾を投下してくるゆり。
こっちが逆に恥ずかしくなるっつーの。
「で…こんな遅い時間にお前1人で帰すわけにも
いかねぇし、どーせ送るっつっても断るんだろ?」
「…さすが、よく分かってる」
目線を泳がせるゆり。
「…泊まってけよ。」
俺が耳元で囁くと、段々と耳まで赤くなる。
「…大我がいいなら、泊まっていく」
また俺の首に腕を回して抱きついてくる。
「ん。」
短く返事をして、俺はゆりを抱きしめ返した。
「…大我、お風呂借りてもいい?」
申し訳なさそうに尋ねてくるゆりに
「ああ。」と頷き、俺も汗を拭いて
こいつが入浴中に着替えを済ませようと立ち上がる。
「あ。着替える?タオル温めて持ってくるね」
パタパタとリビングに向かい、しばらくして
すぐに戻ってきた。
「はい、蒸しタオル。」
丁度いい温度に温まったタオルを受け取ろうと
すると、ゆりが俺を見上げてきた。
「…?」
俺が不思議に思って首を傾げると、
「手伝わなくて大丈夫?」と悪戯っぽく聞いてきた。
「ばっ!1人でできるわ!」
俺が真っ赤になって答えると、こいつは
プフッと吹き出して「うそうそ」と笑う。
俺はムッとして仕返しにこいつを抱きしめ、耳元で囁く。
「そんなおちょくってっけど、俺…もう体調戻ってるからな?」
そう言えば、こいつの顔はすぐに
赤くなって…
「もう!大我のバカァ!ちょっと揶揄っただけだもん!」と叫んで、
バスルームへと入って行った。
俺は緩みっぱなしの顔をどうにか元に戻して、
タオルが冷めてしまわないうちに着替えを済ませた。
汗の臭いが気になったので、制汗剤を手に取る。
汗の処理が終わりベッドに横になってケータイを開くと
バスケ部のメンバーからメールが届いていた。
読んで見ると、カントク、小金井先輩、黒子、
日向先輩からだった。
日向先輩と黒子からは、早く治せ、と一言。
しかし、カントクと小金井先輩からは、
「ゆりと楽しんで」と言った内容が記されていた。
慌てて起き上がり1人で「なっ…!?」と
声を上げてしまった。
すると、バスルームから声がする。