第2章 看病 【火神】
俺はゆりの後頭部をポンポンと優しく叩き、
身体を離した。
「ん。早く良くなるといいね。」
ふにゃっと微笑んでるこいつを見ると、
俺も安心したのか、誘われるように眠りについた。
………………
数時間後…
「ん…」
身じろぎして身体を傾ける。
(今何時だ…?)
近くに置いていたケータイを見ると、
夜中の12時を指していた。
すると、すぐ側に人の気配。
目を向けると、ベッドに寄りかかるようにして
眠っているゆりがいた。
俺は慌てて起こす。
「おい!ゆり、お前、まだ帰ってなかったのか!?」
肩を揺すると、ゆりはまだ寝ぼけた顔で
俺を見る。
「あ…大我だぁ…おはよぉ」
…こいつは寝覚めがすげぇ悪い。
今も完全に寝ぼけている。
「大我ぁ~…」
ベッドに登ってきたゆりは、俺に抱きついてきた。
「ばっ…!お前、帰らなくていいのか?」
成り行きで抱きしめてしまったものの…
マズイ…体調は既に良くなってるみてぇだし、
好きな女に抱きつかれれば、仕方ないと言っても
反応してしまう。
「大我と…一緒だから…ここで寝るぅ…」
俺の首に自分の鼻を擦り寄せるのはこいつのクセ。
「ちょっ…!待てって…!」
ついに首にまで腕回してきやがった…!
引き剥がすにも、甘えられては躊躇してしまう。
「おい…ゆりっ…んっ…」
名前を呼ぶと同時に、俺の口はこいつの唇で
塞がれてしまった。
風邪がうつると焦った俺は、慌てて唇を離す。
「はっ……おま…うつるぞ?」
すると、次第に意識がハッキリしてきたのか、
ゆりの目がしっかりするのが分かった。
「あ…大我?目、覚めた?体調…どう?」
こんな格好で、よくもまぁそんな事が
聞けるもんだ。
…さすがマイペース。
「おかげさんで。…で?すっかり体調はいいんだけど、
…お前、煽ってんの?」
俺は自分の顔に熱が集中するのを感じ、眉間に皺を
寄せながら彼女の腰に腕を回して尋ねる。
「え…?…あ。」
やっと自分の格好に気付き、苦笑いを浮かべるゆり。
「…つい、大我が大好きすぎて」
フフッと笑って悪びれる様子もないゆり。