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黒子のバスケ 短編集☆彡

第2章 看病 【火神】


「…が。…ぃが。…大我?」

肩が軽く揺すられ、俺は目が覚めた。

いつも聞いている優しい声。

この声、すげぇ安心するんだよな…

俺の好きな声。いつまでも聞いてたくなる。

「大我…起きられる?ご飯、できたよ?」

心配そうに俺の顔を覗きこむゆり。

「…ん。サンキュ…」

身体を起こして、座ると、いい匂いが鼻を擽った。

「おかゆじゃ味気ないから、雑炊にした。

…大丈夫?食べられる?」

お盆の上にはお椀に入った雑炊と、コップに入った水、

そして風邪薬が乗っている。

「あぁ、ほんと、わりぃな。」

若干頭が痛むが、少し前よりは断然楽だ。

お盆を受け取ろうとすると、ベッドの脇に

座り込んでいたゆりが、微笑んだ。

「…?」

俺が少し首を傾けると、ゆりはお椀に挿してあった

蓮華を手にとった。

「あーんしてあげる。」

恥ずかしげもなく言うゆりに、俺は目を丸くした。

「ばっ…!自分で食える!」

慌てる俺だったけど、ゆりはまるで聞いていないかの

ように蓮華に掬った雑炊を冷まし始める。

「まだダルそうだし。こぼしたら大変でしょ?

こんな時くらい、甘えてよ」

…その顔で言うのはズりぃ。

拒否できねぇじゃねぇかよ…

俺は自分の顔が赤くなっているのは

熱のせいだ!と自身に言い聞かせて、

お言葉に甘える事にした。

恥ずかしくて目を伏せていたが、一口食べると…

「うまっ!」

こいつが作ってくれた雑炊は、相当うまかった。

ぶっちゃけあんまり食欲がなかったんだけど、

それを忘れるくらいのうまさだった。

「ほんと?よかった…自分じゃ味がわかんなく

なっちゃって、マズかったらどうしようかと

思ってたから…」

ホッと息をつくこいつは相当かわいい。

「いや、まじでうまい。ありがとな。」

それからあっという間に全部平らげて、

薬を飲んで横になった。

「あとは、寝てれば大丈夫だと思うから…」

そっと額の冷却シートを取り替えるゆり。

そう言って笑い掛けてくれるこいつが

無性にかわいくて、俺は思わずそっと抱き寄せた。

「ん…大我?」

俺の腕の中で甘えたような声を出すゆり。

「ありがとな。これですぐ治んだろ」



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