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黒子のバスケ 短編集☆彡

第6章 傷 【青峰】


青峰SIDE

…言ってしまった。

お前が好きだと。

もう後戻りはできない。

でも、俺の気持ちは本物だ。

「あ…青…」

動揺の声を出すゆり。

当たり前か…。俺とお前はただの友達なんだから。

「まだ好きじゃなくても…それでもいい。

ぜってー好きにさせっから…俺のものになれ。」

微かに声が震えるのは、フラれることへの

恐怖心か。それとも…

「わ…私は…」

言い淀むゆり。

僅かに身体を離して顔を覗けば

互いの視線が絡み合った。

…と、目が合った瞬間。

ゆりの澄んだ目から一筋の涙が

頬を伝って落ちた。

「あ…私なんで…」

慌てて指先で涙を拭う仕草が綺麗だった。

俺が反対側の頬の涙を指先で掬ってやると

こいつは顔を赤らめて目を伏せた。

「(やべぇ…かわいい…)」

俺は半ば無意識にゆりの顎を掬った。

「…っ!」

何をされるのかわかったのか、ゆりが

ギュッと目を閉じる。

「………」

そんなこいつを俺は目を細めて見つめる。

……ちゅっ

互いの耳に軽く触れただけのリップ音が届く。

「………?」

そっと目を開けたゆりの顔が再び

真っ赤に染まった。

「あ…青っ…」

俺の唇が触れたのは、こいつの頬。

触れられた部分を手で軽く押さえて

口をパクパクさせている。

「まだ…しねぇよ。お前が俺のもんになるまでな」

気恥ずかしくなって目を逸らすと、

ゆりは困ったように眉を下げた。

「あ…あのね…青…」

「あん?」

俺が返事をすると、ゆりは俺の胸辺りの

服をキュッと握って答える。

「やっぱり私…このままじゃダメだ…」

「…………」

やはりダメなのか…。

俺は一種の諦めのような気持ちが胸を過った。

「私…私ね…?」

声が上ずりながらも、ゆりの手は

俺の胸から離れない。

「青が…好きみたい…」

俺は一瞬、時間が止まったかと錯覚した。

「……は?」

あまりの驚きに、俺は間の抜けた声を上げてしまう。

「あっ…!ちがっ…!あの…!待って!なんか

変になった…!言いたい事と違った!間違えたの!」

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