第5章 努力 【宮地】
「んっ…」
ぅわっ、変な声が出ちまった!
腕を首に回されたせいで!ゆりの胸が
ダイレクトに俺の胸板に押し付けられる。
互いの舌が縺れ合って、互いの唾液を交わす。
ゆりの細い喉がゴクッと動く度に俺の支配欲が
満たされて行くのが分かる。
俺はいよいよ我慢ができなくなり、
ゆりの脇に両手を差し入れる。
キスをしたままゆりの身体を抱き上げ、
ロッカーの上にストンと座らせた。
これから何をするのか予想がついたのか、
ゆりが唇を離した。
「あっ…キヨ…」
「黙ってろ…」
ゆりの首に唇を寄せ、撫でるように唇を滑らせる。
「ひゃっ…」
すぐに口元を隠して声を殺そうとするゆりの
手をそっと退けてやる。
「あんまデカイ声じゃなけりゃ、聞こえねぇよ。
…我慢しなくていいぞ?」
耳元で囁いてやれば、唇を寄せている首元まで
真っ赤にして俯いた。
「ゆり?こっち向けよ…」
「だって…こんなに明るいところでしたこと
ないから…恥ずかしいよっ…」
いつも身体を重ねるときは俺かゆりの部屋だった。
俺の両親もゆりの事は気に入っているらしく、
母さんがたまに晩飯に誘うこともある。
両親のいないゆりにまるで本当の
親のように接する両親の影響か、
俺の部屋で身体を重ねる時にはいつも
決まって、「家族っていいね」と
嬉しそうに微笑んでいた。
…まぁ、話は逸れたけど、とりあえず
お互いの部屋じゃない場所、しかも学校だ。
もしも誰か来たら…という危険性がある。
でも、もう止められるほどの熱じゃないのは明らか。
幸いにも視聴覚室は特別棟の一番端っこだ。
ほとんどの生徒は下校か部活だし、
よっぽどでない限り、人が来ることはない。
「大丈夫だ…誰も来ねえよ」
そっとゆりの手を退かし、顔を覗き込むようにして
俺が告げれば、安心したように微笑んだ。
「でも、お前よく啼くから…あんまりデカイ声
出しすぎんなよ…?」
俺が悪い笑みを浮かべながらそう言えば、
ゆりはみるみる顔を赤くして、
「ばかっ!」と顔を伏せてしまった。