第5章 努力 【宮地】
こいつの肩が僅かに震えだす。
俺はそれが合図とばかりに抱き締めていた腕を
腰にすかさず回して抱き止める。
それでもキスは終わらない。
「んんっ…んっ…キョっ…」
キスの合間に甘い吐息を零すゆり。
いつもの優しい匂いが鼻を擽った。
俺は空いている腕をこいつの後頭部に回して、
離したくないとばかりに引き寄せる。
いつの間にか、ゆりの背中はすぐ後ろにあった
ロッカーについていた。
俺の脚をゆりの両足の間に差し入れて、
内腿を脚で撫でるように動かす。
「んっ…!んぅんっ…!」
すると、頬を赤く染めて、ゆりが俺の胸を叩く。
「(やっべ…止まんねえ…)」
俺は制服の下から手を差し入れる。
「ん〜!んっ、んんぅ!」
顔を真っ赤にしたゆりが段々と潤んできた。
ちゅっ…ちゅっ…と視聴覚室には
いやらしい音と俺たちの息遣いだけが響く。
「っは…」
俺が優しく唇を離すと、ゆりは頬を
真っ赤に染めて俺を見上げる。
「…っ!お前…煽んな!轢くぞ!」
蕩けた表情の破壊力に今度は俺が赤くなる。
「だって…!キヨがこんなことするからっ…」
そう言って、俺の胸に顔を埋めるゆり。
「(ちょ…待て…別れるとか変な事言い始めるから
俺がどんだけお前の事好きか教えるだけのつもりが…)」
予想以上にお互いがヒートアップしすぎて、
未だに熱が燻っている。
それはゆりも同じらしく、さっきから抱きついた
俺の背中をモゾモゾと弄っている。
すると、顔を埋めたまま、ゆりが口を開いた。
「キッ…キヨっ…」
「あ…?何だよ…?」
俺が平静を装って尋ねると同時にスルッと
首にゆりの細い腕が絡まった。
「んっ…!」
俺の口から思わず声が漏れる。
初めてだった。ゆりから俺にキスをしている。
いつも俺がするように、ゆりの舌が俺の
下唇を舐めて擽る。
「(っ…!こいつ…いつもこんなことされてんのか…)」
こんな色っぽい表情でこんないやらしいことを
してくると、そりゃあ口も開きたくなる…な。
そっと口を開ければ、あったかいゆりの舌が
俺の舌を攫う。