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黒子のバスケ 短編集☆彡

第5章 努力 【宮地】


こいつは何も無いのにああやって怒鳴る事なんてまずない。

以前、一度だけ見た事があるが、その原因は

なんだったっけな…。

まぁ、とにかく理由も無く大声出すようなタイプでは

ないことは確かなわけで。

「…はぁ」

俺は小さくため息をついた。

「…まぁ、いいわ。怪我もねえし。」

俺が口を開けば、ゆりは目を丸くして

顔を上げた。

「…んだよ、その顔は…刺すぞ!」

俺が眉間に皺を寄せて言えば、ゆりは

「ごめん…」と呟いてまたうなだれた。

「木村、大坪。この件は俺に任せてくんね?

多分、手ェ出してきたのは向こうだし、

こいつは大丈夫だろ。理由は俺が後で聞くわ。」

俺がゆりの頭をポンポンと叩いて

2人に言えば、2人も頷いてくれた。

「…………」

ほどなくしてミーティングが始まったが、

その間、ゆりは黙ったまま、口を開くことはなかった。

俺が聞いてみてもだんまりで…

「(ったく…何されたらあんなにキレんだよ…)」


そして、放課後…

ゆりは顧問であり、教師の中谷先生、

もとい監督に呼び出しをくらった。

「ゆり、大丈夫なのか?宮地…」

「さぁな…あいつが下手なこと言わなけりゃ

大丈夫なんじゃねえの?」

俺があっけらかんとして答えれば、尋ねてきた

大坪の方が心配の色を滲ませる。

心配してないと言えば嘘になるけど…

あいつは賢いから自分が不利になるようなことは

言わねえ筈だ。

すると、体育館に、緑間・高尾・裕也が来るのが見えた。

「お疲れ様です」

「お疲れ~っす!!」

「しゃ~す」

それぞれに挨拶をしながら部室へと向かう3人。

すると、高尾が俺の元へと駆けてきた。

「んだよ高尾…何か用か?」

俺が尋ねると、高尾はニヒッといつものように

憎めない笑顔を浮かべた。

「聞いたっスよ~!さすが、ゆりさんッスね!

俺、惚れちゃいそうっスよ~♪」

その言葉に、俺だけでなく、大坪と木村も

首を傾げる。

「あ゛?待て、高尾。それ、どーゆー意味だ?」

俺が高尾の首根っこを押さえて呼び止める。

「いだだだっ!どーゆー意味って…そのまんまじゃ

ないッスか!ゆりさんの事っすよ!

昼間の騒動の原因、本人から直接聞いてないんすか?」


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