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黒子のバスケ 短編集☆彡

第5章 努力 【宮地】


よく晴れたある日の昼休み…

俺は大坪と木村と3人で昼飯を食べ終わり、

試合前のミーティングに向かう途中だった。

長い廊下を3人で歩いて集合場所の

多目的室へと歩いていると、突然怒声が

耳に飛び込んできた。

「てめぇっ…!ふざけんなよっ!」

まず耳に入ったのは男子生徒の声。

…大方、友人と口喧嘩でもしているのだろう。

俺達は特に気に止めることもなく、

声の方向には向かわず、歩き去ろうとした。

しかし、騒ぎは一向に収まる気配が無く、

俺達が通り過ぎようとする頃には、

かなりの人だかりができていた。

「おいおい…何事だ…?」

事態がひどくなりそうな雰囲気に、

大坪が人だかりの方へと歩を進める。

大坪に続いて、木村も近づいていく。

「おい…あれって…」

俺達は普通の生徒達よりも背が高い。

人混みの中の人物をすぐに見分けられた。

怒声を発した男子生徒は、以前男バスに

所属していたやつだった。確か、他校の

生徒といざこざ起こして退部になったやつ。

すると、向かい合っていた相手が口を開く。

言い争っている相手は俺達側からは陰に

隠れるように見える為、誰なのか特定できない。

しかし、次に発せられる声ですぐに誰か判断がついた。

「努力もしてないくせにガチャガチャ人の

悪口ばっかり言うな!!」

「「「…っ!!??」」」

俺達は一瞬で硬直した。

「おい…宮地!この声…!」

「まじかよ…」

木村と大坪が同時に俺を見る。

俺は焦ってその声の主の姿を確認する。

まさかとは思ったが…ゆりだった。

…と、同時に、今のゆりの言葉に

そいつは堪忍袋の緒が切れたのか、

顔を真っ赤にして、ゆりに掴み掛かった。

「てめえ…!言わせておけばっ!!」

「私は正論を言ったまでだけど?

いいからさっきの言葉、取り消せっつってんの!!」

ゆりは胸倉を掴まれても全く動じていない。

「このっ…!!」

言い返す言葉もないのか、相手が拳を握る。

やばいと直感した俺は、駆け出したが、

周囲の人だかりが邪魔をして、進めない。

「どけっ!お前ら、全員轢くぞ!!」

大声を張ったものの…遅かった。

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