第2章 看病 【火神】
リコ先輩はそう言って私の肩を叩いた。
「わ…わかりました。では、お言葉に
甘えて、行ってきます。報告はメールでしますね」
私はみんなにお詫びして、すぐに体育館を出た。
しかし、私の去った後、体育館では…
「カントク、ほんとに今日調整だけなのか?」
「っしゃ!ラッキー!」
日頃きつい練習ばかりなので、やっと一息つけると、
全員が安堵の表情を見せた。
…が、振り返ったリコ先輩は、
とびっきりの笑顔で答えたそうな。
「もっちろん♪今日は通常メニュー三倍で
許してあげるわ☆彡」
全員が一瞬で絶望の表情に変わった。
そんなこともつゆ知らず、私は買い物を済ませ、
大我の家の前へと到着した。
「アポなしで来たけど、大丈夫かな…」
事前にお見舞いに行くとは言っていたものの、
当の本人は来るなの一点張り。
「(でも、一人暮らしだし、多分
ごはんもろくに食べてない気がする。)」
私は思い切って玄関のチャイムを押す。
すると、しばらくしてダルそうな声。
『…はい。』
「大我…?お見舞い来た。」
私の声を聞いて一気に覚醒したのか、
その声ははっきりしたものに変わった。
『はぁ!?来るなって言ってただろ?!』
「だって…リコ先輩が行けって…
それに…心配だし。ごはんも食べてないんじゃない?」
私がインターホンの前で問うと、彼は黙り込んだ。
「大我…?」
再びインターホンに問いかけていると、
目の前の扉が開いた。
「…ったく。まぁ、上がれよ。」
ぶっきらぼうだけど、なんだか照れ臭そうに
手招きする彼。
私の頬は一気に緩んだ。
「ん!ありがと!」