第4章 嫉妬 【福井】
そしてむっくんと楽しく雑談しながら
ドリンクを準備していると…
「ぅわあぁ!」と、私の悲鳴が響いた。
あまり驚くことなくむっくんが
「どうしたの~?」と尋ねてくる。
濡れた手で作業していた私は、ボトルから
手を滑らせて、ボトルからはドリンクが溢れ、
ジャージがびしょびしょになってしまった。
「やっちゃった…汗」
「ありゃりゃ~、見事にびしょびしょだね~。
下着とか濡れてない?ジャージだけ?」
「だ…大丈夫…でも、中着までいっちゃってるね…」
「着替えとか、持って来てる~?」
「…タオルか制服しかないなぁ。。」
苦笑いを浮かべてジャージを引っ張り、
パタパタ動かして見る。
さすがに肌寒くなってきたから着替えは持ってきていない。
「(これ、乾くまでだいぶかかるかなぁ…
かといって着替えもないし…でも、これ着てたら
風邪引いちゃうかも…)」
そんな事を考えていると、頭にフワッと何かが掛かった。
「…?」
手に取って見ると、むっくんの名前が書かれたジャージ。
「それ、着てていいよ~。部活終わるまでには
ゆりちんのジャージも乾くでしょ~。
それまでそれ着といていいよ~」
にっこり笑ってむっくんが言う。
「え?でも、むっくん部活中寒いんじゃ…」
言いかける私の口をむっくんが人差し指で遮る。
「いいの~。風邪引かれたら困るし~。
…面白くなりそうだし~。」
最後の方が聞こえなくて、私は「え?」と
聞き返したが、むっくんは笑って答えてくれなかった。
それからはむっくんに外に出てもらい、溢した分の
ドリンクを急いで作って、むっくんと体育館に
向かったのだった…