第4章 嫉妬 【福井】
その行動に俺は少しムッとして、
すぐさま離れた腕を引き、壁に押し付ける。
一気に縮まったお互いの距離。
ゆりは、火が点いたように顔が真っ赤に染まる。
「はっ…何?煽ってんの?」
すぐに顔を背けてしまったゆりの顔を覗きこみ、
俺は意地悪く尋ねる。
「ち…違う…もん…」
もーさ、首筋まで真っ赤。
「それが煽ってるって言ってんの」
赤くなった首に唇を寄せて息を吹きかける。
「んっ…ゃ…健!」
困ったように目をギュッと瞑るゆり。
「………っ」
イラついていたはずなのに、こいつのこんな
表情見てたら、不思議と気持ちが治まってくる。
俺は寮の廊下って事も忘れて、ゆりに
熱いキスを落とす。
「んっ…!んんっ…!!」
こいつにしてみても、最初は困って俺の胸を
押し返してたくせに、段々背中に腕回して煽ってくるし…
背中を弄られると、我慢していた欲が顔を出す。
しばらくお互いの熱を感じて、唇を離す。
「んっ…はっ…」
軽く駆け足で移動していたせいか、ゆりの息は
少し上がっていた。
上気した頬、潤んだ目、ピンク色の血色のいい唇。
おまけに背が低いから、チームメイトの中でも
一番身長の低い俺からしても、こいつは必然的に
上目遣いになる。
キスして着替えさせて、それで体育館に戻ろうと
思っていたが、その気持ちを塗り替えるくらい
今のこいつには破壊力があった。
「…部屋、来いよ。」
俺がさっきとは打って変わって優しく手を引くと、
困ったように眉を下げきって小さく頷いた。
「(マジ…なんなのコイツ…かわいすぎんだろ…)」
何事も仕草全てががわいく思えてしまうのは、
惚れた弱みと言うやつなんだろーが…
「(こうもかわいい仕草をされてちゃ、こっちの
心臓が保たねえっつーの!!)」
自室のドアを開けてゆりを招き入れた後、
しっかり鍵をかける。
あんなことした直後だし、あんま聞きたくねぇけど…
きっと聞かないとモヤモヤしたままだ。
ふぅ。と息を一つついて、
「んで…?なんで敦のジャージなんだよ?」
俺がベッドに腰を下ろして事情を聞いてみれば、
ゆりは少し沈黙したあと、口を開いた。