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黒子のバスケ 短編集☆彡

第4章 嫉妬 【福井】


「おまっ…なんだよその格好?!」

俺が近寄れば、ゆりはこちらに気付き、

頬を赤く染める。

「あっ…違うの、健!これはちょっと…

理由があって…///」

なんで照れながら喋るんだよ…

まさか、敦と何かあったのか!?

長く余った袖とハーフパンツまですっぽり覆われた

身体、膝下まできっちり上げられたハイソックスが

なんだか妙に誘ってるように見えて…

逆に見てる俺が変な気を起こしそうだ。

おまけにこの照れ顔。

「ゆりちんドジだから~、ドリンク作ってたら

溢して自分のジャージびしょびしょにしちゃって~。

このままだと風邪引いちゃうし~。聞いてみたら

着替え持ってないって言うし~。だから俺のジャージ

貸しただけだし~。」

隣の敦は、なんの悪びれもなく説明する。

「ね~、ゆりちん。」

小さなゆりの頭をポンポン撫でて言う敦。

こいつが相当ドジなのは知ってる。

「ん…むっくんのおかげで助かったよ、ありがとう」

へらりと笑った顔で敦に返事をするゆり。

俺は盛大にため息をついた。

チラッと周りを見てみれば、普段からモテるゆりが

こんな格好してたら…そりゃぁ注目の的ってわけで。

俺はいてもたってもいられなくなって、気付けば

持っていたドリンクを敦に押し付け

ゆりの手を攫って歩き出していた。

すると、すぐに岡村が声をかけて来る。

「おい福井!もう部活開始の時間じゃぞ!」

でも、俺は振り返ることなく、

「あぁ、ちょっと出てくるわ。なるはやで戻っから」

先ほどのように言葉を残して今度こそ

体育館を出て行く。

「ちょっ…健!?」

困ったように声をかけてくるゆり。

「いいから…ちょっと来い!」

ゆりと目を合わせることなく歩みを進める。

「あ…岡村くん!すぐ戻るから!」

ゆりはそう言い残して俺に手を引かれるまま着いてくる。

俺が眉間に皺を刻んだまま向かったのは、

校舎のすぐ側にある男子寮。

普段はもちろん女子の立ち入りは禁止。

しかし、この時間なら部活をサボっていない限り

他の人間はいない。

俺はまっすぐ自室へと向かう。

「ちょ…寮は女子立ち入り禁止じゃん!」

慌てふためくゆり。

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