第1章 タイムリミット
「あ、北駒先生とだ」
クラス替えの結果を見て着々と自分のHR教室に入って行く生徒たち
2人の男子生徒は廊下で話をしている北駒先生とに目をやり、それをネタに話を始めた
「聞いた?今の。クラス委員やってくれないかだってさ」
「あいつほんとに先生に気に入られやすいんだよな〜」
「流石だよな」
「男子枠、お前入れば?」
「あんな美少女と一緒に仕事とかできるかって!」
「まああれだよな、には静雄がいるし」
「あー、付き合ってるって聞いたことあるわ」
「でもな、知ってっか?折原のこと」
「折原……ああ、あのイケメンな。なんか噂とかあったっけ?」
「知らねーの?あいつら、去年の秋くらいにデートしてたらしいぜ」
「まじかよ!」
「でもそれ以来2人でいるところ見たやつとかいないらしくってさ。
…でも美男美女でお似合いじゃん?
だから付き合ってんの?どうなの?みたいなかんじらしい」
「確かに悔しいくらいお似合いだわ…
でも静雄ともかなりお似合いなんだよな…」
「とにかく美人にはイケメンが似合うってことだよな〜
俺には縁のない話だぜ……」
静雄は誰とも話すことなく、机に突っ伏して寝ているフリをしていた
勿論彼らの会話は丸聞こえ。
自分との噂をされているのはそれなりに嬉しかったが、“折原”という固有名詞が出てきたことは気に入らなかったようだ。
彼らの会話が聞こえていたのは静雄だけではない
臨也の耳にもしっかり届いていた
その会話を聞きながら2人は同じことを考える
“クラス委員男子”…
「俺が立候補したらあいつはどう出るか」と考えるのは臨也
「臨也にやらせたくない」と考えるのは静雄。
無言のうちに対立は始まっていた。