第3章 初めてのお仕事
「あのっ!」
私はずんずんと手をとられ歩き出した相葉さんに声をかけた。
相葉さんはそれで我に帰ったように私の手をぱっと放した。
「・・・相葉さん?」
手を放しうつむいたままの相葉さんに私は声をかける。
「な、なっちゃん!あの人はかわいい子はかまわず襲うって有名なんだよ!」
「え、そうなんですか!?」
そんなこと・・・もらってた資料には書いてなかったのになぁ・・・。
「とにかく、あいつに一人では近づかないこと!
他の人でも俺でもいいから、一緒に、ね?」
「はい。わかりました。」
私はバックから出したメモに書く。
「なにそれ?」
「いつでもかけるように持ってるんです。」
「ふーん、まめだねー。」
相葉さんが小さくわらった。
私も釣られて思わず笑ってしまう。
「ふふっ、普通ですよ。」
「そういうのを女子力っていうんでしょ?」
「そうですね。」
私たちはしばらく廊下でそんなくだらない話をしていた。
後々私はこの日に戻りたいと思うことなど知るよしもなかった。