【進撃の巨人】 never ending dream R18
第11章 強く結ぶ~勝負~●
木製のベッドがギィと音を鳴らす。
もう何度寝返りを打った事だろう。
身体は疲れているはずなのに、頭は冴えて眠れず、時間が過ぎるのだけをただ待っていた。
サラは上体を起こすと、枕元の時計に目を向けた。
既に午前1時をまわっている。
消灯時間はとっくに過ぎていた。
この時間に起きている者は誰もいない。
サラはベッドから起き上がると、テーブルに置かれた手持ちランプに明かりを灯し、ストールをまとうと、そのまま部屋を出た。
寒く薄暗い廊下を、手持ちランプを片手に歩く。
サラにとって、眠れない夜は1度や2度じゃなかった。
もともと臆病な性格だったからなのか…一睡も出来ずに朝を迎える事もあった。
それは訓練兵時代から続いており、サラはその度、朝が来るまでの長い夜を訓練のために使っていた。
サラが向かった先にある物…それは木造の格技場だった。
調査兵団本部の端に、ぽつりと建てられた格技場。
もともとは剣術の訓練のために使われていた建物だったが、調査兵団にとって最重要とされる立体機動の訓練が同時に行えないため、徐々にその用途を失われていった。
今となっては、ほとんど物置と化しており、兵士の間では『倉庫』と呼ばれる事が多かった。
しかし、サラだけは度々、この格技場を訪れては、わずかなスペースで剣術の訓練を行っていた。
兵舎を出ると、辺りには雪がちらついており、凍てつく寒さがサラの頬を刺した。
サラはランプの明かりだけを頼りに、格技場へと駆け足で向かう。
部屋着である大きめのシャツ。
肩から掛けられたストール。
素足にブーツだけを履いた奇妙な格好。
こんな夜中に起きている者など、ましてや格技場へ来る者などいないだろう。
そう、サラは思っていた。