【進撃の巨人】 never ending dream R18
第33章 使命
「それはテメェの命よりも大事な事か?」
「えぇ、そうだ。」
「人類の勝利よりもか?」
「えぇ。」
苛立つ様子のリヴァイに、サラはそう淡々と答える。
例えリヴァイに何を言われようとも、今回の作戦を離れる訳にはいかない。
これ以上の話し合いは無意味だと、サラは椅子から立ち上がる。
そんなサラを見て、リヴァイは「そうか…。
サラ、お前の判断を信じる。」と言った。
「ありがとう。」とサラは微笑んでみせるが、リヴァイの表情はひどく曇ったままだった。
「なぁ、もう1つだけ聞きてぇ事がある。」
「なんだ?」
「この闘いが終わったら…
世界から巨人が消え、壁が無くなったら…お前はどうするんだ?」
「そんな事を聞いてきたのは君が初めてだ。」と、サラは笑った。
訓練兵時代、あるいは調査兵団入団後…たくさんの仲間達と様々な話をしてきたが、皆、口を揃えて言うのは巨人をこの世界から駆逐する事のみだった。
その後の事を聞いてきた者などひとりもいなかった。
「そうだな…。」と、サラはうつむき考える。
それまで自分が生きていられるなどとは思っていない。
しかし…
巨人が消え、壁が無くなり、人類が真の平和と自由を取り戻した世界…そんな世界を想像すると、今まで感じた事のないような穏やかな感情がサラの心を包んだ。
「子供達に“剣舞”でも教えるよ。」
フフフっと笑いながら、サラは柔らかな笑顔で答える。
全ては2日後の奪還作戦。
その姿を瞳に焼き付けるかのように、サラはいつまでもしかめ面のリヴァイを見つめていた。
【使命】おわり