【進撃の巨人】 never ending dream R18
第31章 永久に碧く~月の歌~
シガンシナ区にある壁外へと続く門の前。
頭上では灰色の雲が空を埋め尽くす。
時おり吹く生暖かい風に、妙な胸騒ぎを覚えた。
それもそのはず。
3歳年下の弟、トージにとっては初めての壁外調査だった。
調査兵団に入団してから1年半。
訓練兵団に所属していた頃から、弟は特に成績が優れていたわけではなかった。
本人が志願しなくても、調査兵団か駐屯兵団しか彼の進む道はなかったと思う。
しかし、彼の周りには常に同期の仲間が集まっていた。
彼には昔から人を惹きつける不思議な魅力があったからだ。
そんな彼を、私はもう“うらやましい”などとは思わなくなっていた。
そんな事よりも、私には託された使命があったからだ。
調査兵団、第2分隊長。
それが…私が調査兵団に入団してからの4年間で手にした“全て”だった。