【進撃の巨人】 never ending dream R18
第30章 永久に碧く~想い~
「おやすみ。」
私はそっとエリクにキスをし、握り締めていた手を離した。
いつもの“また来るよ。”ではなく、ただの“おやすみ。”
無事、帰還出来る保証はないのだ。
エリクの身体から離れ、私は部屋を出ようとドアノブに手をかける。
もう二度と会えなくなってしまうかもしれないエリクの顔を、この瞳に焼き付けたい…そんな気持ちと同時に、これ以上エリクの悲しむ顔を見るのは耐えられなかった。
「サラ…生きて帰って来いよ。」
後ろから、か細い声がした。
“必ず生きて帰って来るよ。”
そう言えればどんなに楽だろう。
しかし、私はエリクの言葉に…エリクの心に、嘘をつく事など出来なかった。
「なぁ、サラ。
帰って来れるよな?」
初めて耳にした余裕のないエリクの声。
“帰って来るよ。”と言ったところで、エリクの心を鎮める事は出来ないだろう。
いつも優しく微笑みながら私を抱き締めてくれたエリク。
“兵士である事”が、そんな愛しいエリクの心を…壊そうとしていた。