【進撃の巨人】 never ending dream R18
第27章 永久に碧く~願い~
「っうぁあああ!!」
2体の無知性の巨人により、ミケの腕が食いちぎられていく。
その腕は、身体から離れてもなお、真っ赤な血液を垂れ流しながら剣を強く握り締めていた。
「………やめろっ!!やめてくれっ!」
クチャクチャと身体を貪り食われ、ミケの意識は徐々に失われていく。
瞳を閉じてしまえば、二度と目を覚ます事はないだろう。
四肢を引きちぎられてもなお、思い出すのは愛する女の姿だった。
「…サラ!!サラ!!」
ランプの明かりに照らされたサラの悲しげな表情。
あれはいつだっただろう…。
テーブルの上に置かれた教本へと視線を落とし、“酒場に行ってみたい。”と駄々をこねていたあの日。
あぁ、あれは訓練兵の時だとミケは思う。
夜の食堂へと訪れるのは座学の勉強のためだと言っていたが、本当はただサラと話がしたかった…それだけだった。
“嬉しいけど…ミケにはきちんと自分の意思で所属兵科を決めてほしいよ。”
「…サラ!!サラ!!」
俺は…自分の意思で選んだんだ。
お前の側で、お前を守る事を選んだ。
例えこの身が滅びようとも、お前への想いは変わらない。
「………サラ…」
瞳を閉じると、柔らかな表情で微笑むサラの顔が浮かぶ。
まるで天使のような穏やかな笑顔。
その笑顔に、ミケはフッと鼻で笑った。
どうか…お前に訪れる未来が笑顔で溢れるように…。
それが、出会ったあの日から変わらない…俺の“願い”だ。
意識を手放したミケの頬を、秋の風がそっと優しく撫でた。
【永久に碧く~願い~】おわり