【進撃の巨人】 never ending dream R18
第8章 出会い~真実~
5日間に及ぶ壁外調査がようやく終わりを迎えた。
部隊が調査兵団本部へと帰還する頃には、西の空が朱色に染まろとしていた。
帰還後の兵士達は、休む間もなく様々な事後処理に追われる。
生存者、死亡者の確認。
負傷者の搬送。
そして…回収する事が出来た遺体を、兵団本部裏の運動場へと運ぶ。
夜に行われる弔いの儀式のためだった。
壁外で命を落とした者の遺体は、遺族のもとへと帰る事はない。
調査兵団入団時の宣誓書にも、その旨が記載されている。
巨人に食い殺された身体を遺族に見せる事は、あまりにも酷だったからだ。
そのため回収出来た遺体は、帰還日の夜、兵団本部裏の運動場にて火葬される。
そこでは酒が振る舞われ、犠牲となった仲間達との最後の夜を過ごす。
その弔いの儀式は何度経験しても、心をえぐられるような苦しみが押し寄せた。
兵団本部中庭の花壇には、サラの姿があった。
帰還後の花の手入れは、もう何年も続けてきた習慣だ。
花壇には冬の寒さにも負けず、黄色い花が凛として咲いている。
サラは花壇の前にしゃがみ、黄色い花弁にそっと触れた。
その瞬間、近くの木々から鳥が一斉に羽ばたいた。
朱色の空へと鳥たちが舞う。
その美しさにサラは頬を緩めた。
冷たい風が優しく吹いていた。
「サラ。」
名前を呼ぶ声がした。
振り返ると、そこにいたのはキースだった。