【進撃の巨人】 never ending dream R18
第7章 出会い~選択~
音響弾の音がした。
サラは目を閉じ、音の方角を確かめる。
雲の異変に気付いたのはつい先ほどの事だった。
どす黒い雲が青空を覆いつくし、一瞬のうちに激しい雷雨となった。
辺りには霧がたち込み、いつ巨人と遭遇してもおかしくない状況だ。
冷たい雨は、体温とともに思考力さえも奪っていく。
陣形を閉じるべきか…サラは選択を迫られていた。
その瞬間、かすかに音響弾の音が聞こえた。
指揮班に緊張が走る。
「フラゴン分隊長だ!!」
サラは、後ろを走るミケに叫ぶ。
ミケは大きくうなずいた。
「サラ!!
後は私に任せてくれ!!
お前達は援護に向かうんだ!!」
キースが叫んだ。
降りしきる豪雨の中、かすかに見えたキースの顔を、サラは網膜に焼き付けた。
部隊をよろしくお願いします…私に何があったとしても。
サラは、拳を心臓に強く押し当てた。
フラゴンの班がいるであろう場所へ向け、ミケとともに馬を走らせる。
痛い程の雨粒が顔にぶつかる。
目を開けているのがやっとだった。
サラの脳裏にフラゴンの言葉がよみがえる。
“死ぬなよ”
サラは手網を強く握り締めた。
フラゴンの班が配置されていたのは、右翼側次列4。
このまま次列2を目指して走れば、フラゴンの班にたどり着けるはずだ。
サラとミケは速度を上げた。
その時だった。
ふと、霧の向こうに黒い煙らしきものが見えた。
それは篠突く雨にかき消され、空へと上る事は無かったが、確かに黒の信煙弾であった。
「奇行種か!?」
サラが叫んだ。
霧の中に、進煙弾を持つ腕が見えた。
サラは馬から飛び降りる。
そこには、巨人に食われたであろう、次列2に配置していた兵士達の残骸が散らばっていた。
生臭い血の臭いが鼻をつく。
信煙弾を撃ったであろう兵士も、既に息はなかった。
サラは、巨人の足跡に気付いた。
「ミケ!!奇行種の群れだ!!
少なくとも4体!!
次列4の方向へ向かったようだ!!」
サラは馬に飛び乗り、剣を抜く。
「…あの時と同じだ。」