【進撃の巨人】 never ending dream R18
第24章 エルヴィン・スミス①
「好きな女が出来たんだ。」
酒場からの帰り道、ナイルがそう口を開く。
俺は「そうか…。」と応えると、足取りの重たいナイルと歩幅を合わせるように、ゆっくりと歩いた。
頭上から降り注ぐ月明かりを頼りに、俺達は石畳の道を訓練兵団の兵舎へと戻る。
後ろでは羽目を外し過ぎた仲間達が数名、路上に座り込んで騒いでいたが、俺達は振り返る事なく、ただ真っ直ぐ前を向いて歩いていた。
「酒場で働いているマリー…お前も知っているだろ?
アイツに出会うまでは、俺だって本気で調査兵を目指していたんだぜ。
ただ、どうしてだろうな…。
好きな女が出来た途端、急に死ぬのが怖くなったんだ。
生きてアイツを守りたい。
生きてアイツを愛したい。
そう、思うようになったんだ。」
言葉を選ぶように、ゆっくりとした口調でナイルはそう言った。
そして最後に「すまない。」と、かすれた声でつぶやいた。
俺達はそのまま言葉を交わす事なく、兵舎までの道を歩いた。