• テキストサイズ

【進撃の巨人】 never ending dream R18

第20章 咽び泣く~生き方~


あの日を境に、私はクレアの目を盗んでは、キースがいる団長室を訪れるようになっていた。





特に何をするわけでもなく、壁際に置かれたソファーに座り、難しい顔をしながら机へと向かうキースを眺める。

ただ、それだけの事が私には嬉しかった。





時おり思い出したようにキースは私の方を向き、笑顔で手招きをする。

それは、“こっちへ来て膝に座りなさい。”の合図だった。





キースは私を膝に乗せると、決まって机の引き出しから取り出したチョコレートをくれた。



キースの傷だらけの手から渡される一かけのチョコレート。

甘い甘いそのチョコレートを口いっぱいに頬張る私を、キースはいつも温かな眼差し見守っていてくれた。





そんなある日、私は突然クレアに問い詰められた。



「サラちゃん、このチョコレートは誰にもらったの?」



洗濯カゴに入っていた私のズボンのポケットから、チョコレートの包み紙が出てきたとクレアは言った。



「…キースにもらったの。」



「キースって、シャーディス団長の事?」



「シャーディス団長?」と、首を傾げる私に、クレアがそれ以上を問う事は無かった。





しかし、「きちんと“団長”って呼ばないとダメだよ。」とだけ、クレアは言った。





“キース・シャーディス団長”





そう、私にとってキースは…あの頃からずっと“キース団長”のままなのだ。





/ 841ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp