【進撃の巨人】 never ending dream R18
第19章 咽び泣く~居場所~●
先ほどの騒ぎが嘘のように、団長室はしんと静まり返っていた。
パラパラと手紙をめくる音だけが聞こえる。
皆、その内容が気になるのであろう。
手元の手紙へと視線を落とすサラの顔を、リヴァイ達は固唾を飲んで見守った。
サラは手紙を読み終えると、ふぅと、大きく息を吐いた。
「ねぇ、サラ!?」
何も言葉を発さずにいるサラをじれったく思い、ハンジは机を叩きながら問い掛ける。
そんなハンジへと、サラは真剣な眼差しを向けた。
「ハンジ、巨人の捕獲は予定通り行う。
捕獲装置の開発を進めてくれ。
“ディルク伯爵様”から寄付金の申し出だ。」
ハンジの顔を見つめ、サラはふふっと笑う。
「本当かい!?
やったぁぁぁあああああ!!!!!」
ハンジが歓喜の声を上げ、隣にいたナナバへと抱きつく。
団長室にこだまするハンジの声に耳を塞ぎ、リヴァイは小さく舌打ちをした。
「先ほども述べたが、次回の壁外調査までに残された時間はあと僅かだ。
無駄話をしている暇は無い。
皆、早く職務に戻ってくれ。」
サラの言葉を最後まで聞かず、ハンジは勢い良く団長室から飛び出していった。
「私達も戻るよ。」と、ナナバはミケを連れて団長室を後にする。
いつの間にか団長室には、リヴァイとサラのふたりだけとなってしまった。
「おい、サラ。一体どういう事だ?」
机の引き出しから便箋を取り出し、ディルクへと令状を書くサラへ、リヴァイはそう問い掛ける。
頭から酒をかけ、酒のボトルを床で叩き割り、首を絞めて失禁させた。
しまいには、股間をハイヒールで踏みつける。
そんな女にディルクが金を出すわけがないだろうと、リヴァイは思った。
「彼は…女性を“罵倒する”より、“罵倒される”方が好きだったらしい。
こんな熱烈なラブレターをもらったのは初めてだよ。
私にまた“踏んで”ほしいそうだ。」
そう言いながら、サラは子供のような笑顔で笑った。
【咽び泣く~居場所~】おわり
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