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【進撃の巨人】 never ending dream R18

第18章 咽び泣く~親を夢む~●






窓の外は夕闇に包まれ、西の空だけが朱く染まっていた。



毛布にくるまり、壁際に置かれたソファーで身体を重ねるように眠ってしまったサラの髪を、リヴァイは優しく撫でる。

鼻腔をくすぐる石鹸の香りに、リヴァイがそっと微睡みはじめた時だった。



「…くすぐったいよ…。」

サラが目を覚ます。

毛布に顔をうずめ、サラは無邪気に笑った。



「なぁ…何でこの部屋にはカーテンがねえんだ?」

リヴァイはそう問い掛けながら、窓の外を眺める。



「…月が見えるようにと思って外したんだ。
あいにく、この部屋からは月がよく見えないが…。
それでも、月からはこちらがよく見えるだろ?」

「何だそりゃあ…。」



寝ぼけているのかと、リヴァイはフッと小さく笑う。

そんなリヴァイへ、サラは穏やかな笑みを向けると、身体を起こし、じっと窓の外を見つめた。



「…どうかしたか?」

窓の外を見つめ続けるサラへと、リヴァイは問い掛ける。



「あの日を…思い出すんだ。」

真剣な横顔でサラはそうつぶやいた。

瞬きをするサラの瞳には、夕闇に燃える朱色の光が炎のように映っていた。





“あの日”

シガンシナ区及び、ウォール・マリア陥落の日。

あの日もこうして夕闇の中、西の空だけが朱く燃えているようだったと、リヴァイはサラの横顔を眺めながら思い出す。



「まさか…ウォール・マリアまでもが破られていたなんてな…。」

そう溜め息をつき、サラはリヴァイの胸に頬を寄せた。





あの日、壁外調査から帰還したばかりの調査兵団の元へ、駐屯兵団の早馬がやって来た。



“突如出現した超大型の巨人により、シガンシナ区の扉が破壊され、街は壊滅状態。”



シガンシナ区へと向かう調査兵団一行に、ウォール・マリアが突破されたとの知らせが入ったのは、一行がトロスト区へと差し掛かった時であった。





「寒いだろ。」

リヴァイはずり落ちた毛布を、そっとサラの肩へ掛ける。

「ありがとう。」と、つぶやくサラの身体を、リヴァイはきつく抱き締めた。





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