【進撃の巨人】 never ending dream R18
第1章 寒い夜
朝から降り続いていた雨が、雪へと変わっていた。
建て付けの悪い窓がカタカタと鳴っている。
風も強くなってきたのだろう、ランプの炎がわずかに揺れた。
サラは手元の書類から、壁の時計へと目を移した。
もう、こんな時間だ…。
サラは大きく伸びをすると、腰まである長い黒髪をひとつに結わえた。
調査兵団14代団長。
それが今のサラの肩書きだ。
正式に団長に任命されたのが2年前。
845年…シガンシナ区及びウォール・マリア陥落の年。
サラが20歳の時だった。
身長155㎝。小柄で華奢なサラを見て
「調査兵団は終わった」
と、噂する民衆も少なくはなかった。
有能な13代団長の死。
シガンシナ区及びウォール・マリア陥落。
急増する難民。
そんな、調査兵団の働きに期待が高まる中での団長就任であった。
しかし、民衆の声とは裏腹に、調査兵団内でのサラへの期待は大きなものだった。
若すぎる団長に反発する者などいない。
そう、サラは団長に“なるべくしてなった”のだ。