【進撃の巨人】 never ending dream R18
第16章 強く結ぶ~嫉妬~●
「今日はもう少しお休みください。」と、サラは医務室を後にする。
初めて聞かされたキースの想いに、サラの心は大きく揺れていた。
廊下の窓から差し込む西日に、半年前、キースがいる訓練所を訪れた日の事を思い出す。
幼い頃から憧れ続けていたキースの苦悩と後悔を、サラはひしと胸に受け止めた。
「サラさん…。」
突然後ろから声を掛けられ、サラは慌てて振り返る。
そこには訓練中であるはずのローターの姿があった。
「訓練中だろ。ここで何をしている?」
そう言いながら、サラは冷たい視線をローターへと向ける。
そんなサラへ、ローターはひどく神妙な面持ちで口を開いた。
「謝りたいんです。…この間の事。
本当に、申し訳ありませんでした。」
そんな事かと、サラはため息をついた。
確かに飲み物に酒を入れ、関係を迫ってきたローターには腹立たしい気持ちでいっぱいであった。
しかし、危機管理能力の無い自分にも非はある。
そして…やむを得ない状況とはいえ、ローターに暴力を振るってしまった事には多少の罪悪感があった。
表情を強ばらせ、萎縮した様子のローターを、サラは真っ直ぐと見つめる。
もともと成績上位でありながら調査兵団へと入団し、調子に乗りやすい面もあるが、仲間思いな性格のローター。
新兵の中では、モブリットの次に期待を寄せている兵士であった。
「ローター…君は身のこなしが素早く、立体機動の腕も確かだ。
同期の仲間からの信頼も厚い。
煩悩に惑わされる事なく鍛錬に励め。
君はきっと良い兵士になる。」
穏やかなサラの言葉に、ローターは瞳を潤ませる。
「ありがとうございます!!」
深々と頭を下げた後、ローターは力強く敬礼をした。
【強く結ぶ~嫉妬~】おわり
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