【進撃の巨人】 never ending dream R18
第2章 出会い~団長~
844年
「サラ、待たせたな。」
そう言いながら、キースは教官室のドアを開けた。
窓から訓練兵を眺めていたサラは、キースに向き直り敬礼をする。
「ご無沙汰しております。キース…いえ、シャーディス教官。」
「いや…、キースで構わない。」
訓練兵団訓練所。
サラがここを訪れるのは、卒業以来5年振りだ。
「しばらく見ないうちに、痩せたか?」
キースはそう問いかけながら、サラに応接用のソファーへ座るよう促す。
「ええ、父が亡くなってから半年、やらなければならない事がたくさんありましたので…。」
「そうか…。
調査兵団を取り巻く環境は、これまで以上に厳しいものだと聞いている。」
キースは腕を組み、深くため息をつく。
以前から壁外の探索活動を行う調査兵団の存在に、疑問を持つ議員は多かった。
毎回多くの犠牲者を出し、その成果は一向に見られない。
そして、その活動には多額の税が投入されていた。
“壁の中にさえいれば安全に暮らせるのに…”
“兵士なんて税の無駄遣いだ…”
不満を抱える民衆も少なくはなかった。
そんな中、半年前に行われた壁外調査では、兵士の7割を失った。
その中には、優れた知恵や才覚を持つ熟練兵士も含まれていた。
壁外調査の廃止を強く求める議員が現れたのもその時期だった。
調査兵団の存続は絶望的。
その噂は、訓練兵団教官のキースの耳にも届いていた。