第1章 短編集
名前にトークが来ているという事は何かしらでオレにも連絡が来ているだろうが、今は名前のスマホ画面の情報で十分だろう。
覗き込むようになるため名前にちょっとでも近づけてラッキーだと思いつつ、さっきは近いからと距離を置くと言った行為に対して、やっぱり近づいたままで顔を赤くしないよう我慢すればよかったと残念がった。
名前と二人きりになれることもそうだが、近づくことすらあまりない機会だったのに。
ここから巻き返そうと話しかけたタイミングで名前のスマホから着信を知らせる音楽が流れた。
「あ、もしもし?靖友?・・・あー、そうだね、うん、こっちは尽八と探しているからその辺りもう一度探してみて、はーい」
・・・あの野獣め、オレと名前の会話の邪魔をしよって!
よし、改めて・・・
♪~
「はいはい、あれ、山岳も探してくれてたの?うん、わかった、また見つかったら教えて、あとグループライン見てれば他の人が探している場所と被らず探せるから見ておいてね、はーい」
いつもそんなことしない癖に何なんだ真波のヤツ!!!!
♪~
「もしもし、塔一郎?うん、え?うん?あー、わかった、泣かないで。とりあえず隼人は放置しといていいから、はーい」
泉田、お前も邪魔をするのか!?
♪~
「なに?隼人?・・・え?電話かけてみただけ?なにそれ、さっき塔一郎が「新開さんがうさ吉とずっと会話してて怖かった」って心配してたよ!あやまっておきなね?もー切るよ!」
おのれ確信犯ンンンンンンンンン!!!!
♪~
「はい、どうしたの寿一」
フク、お前もかぁぁぁああああああ!!!!
「・・・え?あ、うん、ありがと・・・え!?みつっ、あー・・・うん、見てないみたいだし、もう少し、うん、この恩は・・・はい、ありがとね、寿一」
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