第1章 短編集
「どうした?見つかったのか?」
「へ!?あ、いや、ま、まだみたい!!!」
苦笑いをしながらこちらを見る名前。
なんだ、まだ見つからんのか・・・。
こちらとしては好都合だが、校内中を探しているのでそろそろ見つかってほしい気もする。
名前と二人きりになれるのも嬉しいが、部室の鍵がなくてはさすがに困るだろう。
階段を下りながらどうしたものかとうんうん唸る。
「うーん、困ったな。アテもなく校内を探すのも骨が折れそうだ」
「う、うん、そうだね・・・と、わぁ!」
「名前!!」
階段の着地に失敗したのかぐにゃりと足首が曲がったと同時に名前の体が傾く。
名前のが少し前を歩いていたので腕をとっさに掴み、引き寄せるとその反動で自身へ体が傾き、尻餅をついた。
「あ、あぶな・・・っ」
「それはこちらのセリフだ!大丈夫か!?」
ペタペタと名前の体を触りつつ怪我がないか確認する。
足首はすでにひねっているだろう、打ち身や擦り傷がないかと体のあちこちを調べた。
「あ、足首ひねっただけ・・・あとは尽八がかばってくれたから・・・」
「・・・なら、良かった。名前に怪我をされては困るからな」
立てるか?と名前に確認しつつ上体を起こそうとする。
そしてはじめて名前と体が密着していることに気付いた。
いや、助けるためにこちら側に引っ張ったからそうなったのだが自分に覆い被さるような形で名前が目の前にいる。
「・・・あ、ありがとう、尽八」
「い、いや・・・むやみに体を触ってすまない」
肩をそっと掴んで上体を起こしてやる。
ああぁぁああ、ナチュラルにあちこち触ってしまった・・・!!!!
「それは怪我してないか確認しただけでしょ?
もしやましい気持ちがあったらビンタしてた」
「そ、そうか・・・」
・・・・き、気まずい。
心臓がどきどきする。
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