第1章 短編集
東堂とマネ
部室の鍵がなくなった、らしい。
マネージャーの名前からそう連絡がフクに届き、フクからの指名で掃除当番のないオレと名前で探すことになった。
今日は自主練習になったがとりあえず鍵は探す、と。
フクは知っているのだ。オレが名前を好いている事を。
フクなりに色々気を使ってくれているのだろう。
名前を好きな敵が多いので非常にありがたい。
待ち合わせの職員室前で待っていると新開と並んで名前がやって来た。
距離が近いぞ。おい、新開よ。
「そうイライラすんなよ、尽八」
お決まりのバキュンボーズが余計苛立ちを増幅させる。
なんでそんなイライラしてるの?と言わんばかりの顔を名前はしていたがあえて無視をすることにした。
なによりイライラの原因が原因なので説明がしにくい、非常に。
「隼人がね、昨日の帰りにもしかしたら鍵を差したまま帰ったかも、って言ったから部室見てきたんだ。でもやっぱりなかった。」
「そうか・・・鍵の持ち出し名簿は見たのか?」
「今見てきたけど昨日の夜の顧問の先生が最後。今日借りた人が書き忘れてるのかもと思ったけど、誰かが借りてる感じもなかったの」
新開に事の経緯を尋ねると、確かに差しっぱなしにしてしまっていたらしいので見回りついでに回収してくれていた顧問の先生に謝っていたところで鍵庫に鍵を取りに来た名前と会い、ぶら下がってるはずの鍵がない事に気づいて今に至るのだとか。
新開よ、少しでも名前と二人でいたなんて羨ましいが山の如しだ!
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