第1章 ようこそ、ECOの世界へ
「エミル・クロニクル・オンラインっていうゲームの世界だと思う」
「ほぉー、驚いた! そりゃ、どんな世界だ?」
「アクロニア大陸って世界だよ。3つの世界に分かれていて、一番上は天使のタイタニア族。真ん中が人間のエミル族。三番目が悪魔のドミニオン族。それぞれの種族の故郷で成り立ってるんだ」
元のゲームの名残なんだろう。
みっちゃんと長谷部は人間。
倶利伽羅と鶴丸が人間。
そして、僕は天使と種族が分かれている。
でも、普通だと青い世界で目が冷めて、紙芝居屋さんからこの世界について押して貰う。
そして、目が冷めて、紙芝居屋さんが居た世界は夢でした。
というところから、チュートリアルが始まるはずだ。
「今僕らはどういう状況なんだろう?」
「というと?」
「普通、ゲームを始めるときチュートリアルがあるんだけど、チュートリアルをすっぽかしてるような気がして」
「――そんなこと、どうだっていい。とりあえず、狩るぞ」
「はぁ?」
状況確認もせずに、狩りを始めようとする倶利伽羅似、僕はため息を付いてしまう。
(こんな世界で、美味しい食べ物を好きなだけ食べるなんて、無理だよ。早く帰りたいのに……)
頭を駆け巡る走馬灯は、全て今まで食べてきた美味しい食べ物ばかり。
(こんなことなら、買ったばかりのアイス全部食べておけばよかった……)
「恵ちゃん、早く狩りするよ?」
「なんで?」
「ゲームの世界なんでしょ? とりあえず、レベル上げようよ」