第2章 ウィリー・ドゥ、故郷へ帰る
僕らは、入国書が必要な入り口まで連れて行くという約束で、アップタウンから北にあるノーザリン岬に向けて歩いていた。
「ここ、さっきの平原だよね?」
「ううん、違うよ。アップタウンは、西東北南の4種類の平原に分かれてて、平原ごとに微妙に住んでるモンスターとか、生えてる植物が違うんだ」
「なんか、ややこしいね」
「地図を見れば、すぐわかるよ。さっき僕らが居たのは、西平原だよ」
ウィリー・ドゥは、全員みっちゃんに抱っこされながら歩いてる。
っていうのも、言い出しっぺのみっちゃんに懐いてしまったんだ。
時々、みっちゃんの頬にすりすりしながらも、皆一生懸命みっちゃんに抱きついてる。
その姿は、とっても微笑ましい。
「にしても、腹減ったな……」
「そうだよねー。もう、お昼の時間だもん……」
本当なら、今頃デパートで美味しい料理を食べてる時間だ。
常日頃、何か食べている僕としては体がちょっと気だるくなって危うい。
僕は、他の刀剣以上に食料が必要なんだ……。
審神者の力を維持するために、食料を消費してるんだよ。
「駄目だよ。この子達をお家に帰してあげるのが先だから」
「途中で何か買えるといいんですが」
「クエスト一回もしてないから、皆お金ないよー」
そうなんだ。
僕らは、この世界に来たばかり。
だから、文無し。
それに、下手に買って出費を増やすより、地道に自給自足のほうがいいんだけど。
僕は、近くにある木を殴る。
これは、果物の木だから、倒すと食べ物が出てくるはずだ……!
って、倒し終わるとその場にモモンガがちょこん、と座ってた……。
(こんな状況で、レアドロップ……)
モモンガは、可愛い目をくりくりさせながら僕の方に小さなお手を差し出す。
連れて行け、ってことだろう。