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君を追う

第2章 ことのはじまり




1番はじめにトラップを仕掛けていた所に着いたアオリは首を傾げていた。

「アオリ、どうした?」
「先生…ターゲットがいないんだ。」

2人の会話を聞きトラップを仕掛けた場所を見下ろすと爆発で軽くえぐれた地面だけがそこにあった。

殺せるほどでなくても大怪我をしたクマがそこにいてもおかしくないはずだ。
にもかかわらず、現場には血の一滴も残っていない。


「どこかに隠れてるだけだろ!逃げちまうかもしんねぇよ!」
「待て!!スズミ!!」


遅かった。

木から降りた直後、スズミの首にクナイが刺さる。

「スズミ!!!!」

叫ぶアオリをアミツキ先生が抱えて隣の木に飛ぶ。
同時にアオリが立っていた位置に起爆札のついたクナイが刺さっていた。

「さゆ!!!飛べ!!!」

先生に言われる前に体が動いていた。
起爆札が爆発する。
爆風にはギリギリ巻き込まれずに済んだ。

頭が働かない。



スズミは?
さっき見たときはクナイの刺さったところから血が噴き出していた。


死んだ?


どうして?



「さゆ!!!」

先生の声で我にかえる。
反射的に声の方へ顔を向けると先生に抱えられておなじく放心状態になっているアオリの顔が目に入った。
先生は状況を理解しようと辺りを見渡している。


アオリや自分と比べて冷静に努める先生を見て直感的に気づいた。


この人は任務で仲間の死ぬ所を見たことがあるんだ…


上忍という事はそれだけ多くの任務をこなしているはず。その中で仲間の死を見たことない忍の方が稀だろう。それどころかそんな忍はいない可能性の方が高い。

これが忍の現実。




動かなきゃ。

頭の中にはそれだけだった。
意識を集中させチャクラを探る。
感知には多少自信があった。

「先生!飛んで!!!」

声に反応してアミツキが飛ぶ。
木にクナイが刺さる。

「アオリ!しっかりしろ!!!」

アオリはいまだに放心状態だ。
先生もアオリを抱えたままでは動けないだろう。
私がなんとかしなきゃ。


クナイの飛んできた方向へ駈け出した。

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