• テキストサイズ

君を追う

第9章 新しい生活









「私、再来年になったらイタチくんのこと探しに行こうと思うんです。」


さゆはパキンと橋を割りながら俺の目を真っ直ぐ見てそう告げた。


「…意外だな。お前ならすぐにでも行くっていうのかと思ってた。」
「私もはじめはそう考えていました。でも、火影様に少なくとも2年はサスケくんを見ててほしいって言われて。」
「…それだけ?」

ナスを口に入れてさゆの目を見ると、彼女はぎこちなく笑顔をつくった。

「火影様に報告に行っている間に、サスケくんが1人でフラフラしてたんですよ。あの目が、あの雰囲気が、いなくなる直前のイタチくんと……昔の私に似てて…。
同情なんてって自分でも思うんですけど。でも、こんな状態のサスケくんを1人にしたくないって、本当に思ったんです。」
「だったら…」

さゆはご飯をひとつまみ、口へ運ぶと首を横にふる。

「私は、どうしてもイタチくんがあんな事をしたくてしたなんて思えないんです。理由をちゃんと、彼の口から聞きたいんです。」
「………」


さゆの目は暗部へ入隊することを決めた時と同じものだった。もうきっと、何を言っても聞いてはくれないだろう。


それでも以前の様に、決定してしまったことを三代目づてに聞くよりもマシか。


「分かったよ。お前はきっと何を言っても聞いてくれないだろうからね。」
「…!!!本当ですか?!」


ため息をつく俺とは裏腹にさゆはパアッと顔を明るくした。

えっなにその反応。


「嬉しい…カカシさんには反対されると思ってたんで…!!」
「…反対しても行くんでしょ?」
「それでも、その時が来たらカカシさんにはちゃんと送り出して欲しかったから…」


そう言いながら、申し訳そうにしながらも笑うさゆにうっかり見惚れてしまった。


胸がじわりと暖かくなる。

あの時と同じだ。
一方通行なわけじゃないんだ。





/ 151ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp