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君を追う

第9章 新しい生活







「さっき、何話してたの?」
「え?ああ、別に、カカシさんすぐ来たし挨拶程度ですよ。」
「ふーん」



半個室の日本食屋さん。
席に着くなりカカシさんはメニューに目を落としながら質問をしてきた。


カカシさんと恋人に間違われたのは3回目くらい?私がつい一週間前くらいから受け付けを始めたってのもあるけど。

多い方なのか少ない方なのか。
どちらにせよそう思ってる人はいるようで。

カカシさんに言った方がいいだろうか?
でもカカシさん結構過保護だしな。


「さゆ、聞いてる?」
「え?あ、ごめんなさい聞いてませんでした。」
「早く食べるもん決めないと、昼休み終わっちゃうよ。」
「ああ、じゃあそのネギトロ丼で。」


私がそう言うとカカシさんが手を上げて店員さんを呼び注文をしてくれた。

やっぱりナスか。

カカシさんとどこかに行くと全部やってくれる。ボケーっとしているようでさりげない気遣いも忘れない。さっきの中から抜け出す時も早かった。顔だって贔屓目を抜きにしてもかっこいい方だと思う。


「カカシさんってモテそうですね。」


なんともなくそう呟くとお茶をすすっていたカカシさんが吹き出す。

「えっ?なに急に…」
「いや、なんとなく。さりげない気遣いとかできるし。」
「えっやだなにさゆ俺に惚れちゃった?」

カカシさんは口に両手をあておどけてみせる。


「いえ、さっきアオバさん達に付き合ってるのか聞かれたんで。」
「はぁ?!お前さっき挨拶程度って言ってたじゃん!」
「挨拶程度でしょこのくらいなら…ていうかそうですよ、カカシさんは?彼女の1人や2人いるんじゃないですか?構ってくれるのは嬉しいけど周りの人に誤解されちゃいますよ?せっかくいい年頃に。」
「あのね、彼女なんていないし、誤解されたところで俺は…」

「お待たせしました〜」

言いかけたところで店員さんが品を持ってきた。カカシさんは乗り出していた身体をおずおずと下げる。




「さて、そんな話がしたかったんじゃなくてですね。」




まじめな空気になるが言わなきゃ言えないことがある。


きっとカカシさんには反対されるだろうな。





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