第9章 新しい生活
あ…
数日後、任務を終え自宅へ向かう途中、向かいからくる人の流れ中にさゆの姿が見えた。
道には夕暮れ時で買い物やら帰宅やらの人がごった返している。が、周りがぼやけ、さゆだけがクリアに見えるようだった。距離があるためかこちらには気づいていない。
よく見ると小さな男の子の手を引いている。
あれは……
うちはサスケか…?
うちはサスケは今忍の間でちょっとした有名人になっている少年だ。
うちはイタチによる一族皆殺し。
そんな中で1人生き残った、否、生かされた少年。
そんな少年となぜあいつが…?
疑問は残るが手を繋ぎ、楽しそうに話しながら歩く姿は本当の姉弟の様だった。
さゆの笑顔がやたらと目につく。
しばらくその光景に目を奪われていた。
自分が固まっていることに気づいたのはさゆと目が合ったときだった。
ぎこちなく会釈をしてくるのにこちらも会釈で返す。
サスケといえばオレに気づいた途端繋いだ手を離していた。
「あ、ちょっとなんで離しちゃうの」
「なんでって恥ずかしいからだよ。こんなことしなくても迷子になったりしないから。」
「私が繋ぎたいのにー」
お互い流れのままに歩き、距離が縮まっていく。
「お疲れ様です。」
「ああ。」
すれ違いざまにそれだけ告げるとそのまま通り過ぎて行った。
「今の誰?」
「先輩…?的な。」
「ふーん。」
サスケがチラッとこちらを探る様に見てくる。
心配しなくてもお前のねーちゃんに手なんて出さねぇよ。
サスケは前へ向き直ると頭を撫でてくるさゆの手を払っていた。
2人の影が人混みに消える。