第9章 新しい生活
「お前さ、さゆのことどのくらい知ってるんだ?」
カカシさんは野次馬から離れて、窓の前に立つと俺にしか聞こえない声で質問をしてくる。
「いや、本当に顔見知り程度っすよ。数日前に火影室で俺が任務について火影様と話していたらノックもなしに怒鳴り込んできたんです。」
「………そうか。ならいいや。その件については悪いが許してやってくれ。じゃ。」
片手を上げて野次馬の方へ戻ろうとするカカシさんを慌てて呼び止める。
「いやいやいや待ってくださいよ。聞くだけ聞いてそれはないでしょう。あいつ一体何なんですか?顔も見たことないですよ?それがいきなり上忍だなんて。」
「ま、詳しいことは暫くしたら火影様から一部上忍にお話があるから。お前もそれに呼ぶよ。」
カカシさんは飄々とかわすと野次馬の中へ割って入りさゆを集団から引っ張り出す。
「はいはい、もう時間だから終わりー。ちょっとアンコ、ベタベタ触んないで!」
「何よカカシのケチ!じゃあねさゆ!」
早くもアンコに気に入られたさゆは戸惑った笑顔で手を振りながらカカシさんに連れられてドアに吸い込まれるように消えていった。