第9章 新しい生活
「はーい、みんなちょっといー?」
カカシさんがドアからひょっこりと顔を出す。
その場にいた上忍達が一斉にドアに顔を向けた。
「ほら。大丈夫だから。」
カカシさんに手を引かれ、その後ろに隠れるようにもう1人が入ってくる。
「あれ?受付の子じゃね?」
さっきまで自分と談笑していたライドウが声に出す。
そうだ。受付の、数日前火影室にノックもなしに怒鳴り込んできた失礼女だ。名前は何だったかな。
「えっと…その、先日上忍に就任しました、高澤さゆです…」
カカシさんに背中を押されおずおずと頭をさげる。
「さゆは俺の幼なじみ?みたいなもんだ。ま、そんなとこだから仲良くしてやってちょーだい。」
えっ?
「お前上忍だったのか?」
驚いて思わず声に出してしまった。
「何だゲンマ知り合いか?」
「え、えぇまあ。」
「ふーん。」
つい今しがた仲良くしてくれと言った割に気に入らないといった様子でこちらを見てくる。
何だこれめんどくせぇな。
「ま、今は訳あってちょっと受付についてるけど暫くしたら任務に入ると思う。分からないこととかあると思うからフォローしてやってくれな。」
そういうと何事もなかったかのようにいつもの笑顔になった。
訳あってってなんだよ。
そんな言葉がなんとなく突っかかるが、他の連中はどうでもいいのか紅やアンコなどを中心にわらわらとさゆを取り囲み質問攻めしている。
「アオバあの子のこと気になってたから、後で教えてやんねえとな。」
「あーそういえばそんなこと言ってたな…。」
さゆちゃんかあ…というライドウも口元が緩んでいる。俺も行ってこようと野次馬の輪に加わって行った。
確かに見た目は可愛らしいし大人びているがまだ15・16だろう。そもそも第一印象が良くなかったこともあり自分だけが周りのノリについていけない。
はぁ、とため息をつくとカカシさんがすっと近づいて「ちょっといいか?」と部屋の端を指差すので、再びため息をつき後に続いた。