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君を追う

第8章 決起










家に着くと廊下で父とすれ違った。


「…どこへ行っていた。」
「別に…少し散歩ただけだよ。」


そう一言だけ言い、その場を去ろうとすると後ろから「イタチ」と名前を呼ばれる。


顔だけをそちらへ向けると、父はその先を言うのか悩んでいるようだった。


ただお互いの目を見つめ合うだけの時間。


不思議と嫌な気分ではなかった。
こうして落ち着いて目を見るのは久しぶりな気がする。



いつからだろう。
父と会話をするときはいつもお互いに敵対する意思をぶつけ合っているようだった。


だが今この時は、ただの父と子として、視線を交わしている。




そう思っているのは俺だけだったりしてな…






1時間にも感じた5秒がたつと、父が目を伏せた。


「なんでもない。もうすぐ夕食だから、少ししたらきなさい。」
「はい。」




父の背を見送るとサスケがこちらへかけてくる足音が聞こえた。




勢いよく飛び掛かってくる弟を受け止める。










大きくなったな…。





たった1人の己の兄弟。




『何があってもお兄ちゃんが守ってやるからな。』





いつだったか言った言葉は今でも自分の中にある。





弟を守る。
たとえそれがどんな形であっても。










許せサスケ。







自分にも聞き取れないくらい小さな声で呟いた。










己の夢を殺すのは明日。










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